CFD取引のリスクと証拠金・ロスカット・追証の基礎

CFD(差金決済取引、Contract For Difference)を始める前、あるいは始めた後に、どのようなリスクがあり、証拠金やロスカットの仕組みをどう理解しておけばよいのでしょうか。この記事では、CFDに関わる主なリスクと、証拠金・証拠金維持率・追証・ロスカットといった証拠金まわりの仕組みを、公的機関や自主規制機関が公表している情報をもとに整理します。取引の前提となる事実を正確に確認していただくことを目的としています。CFDの基本的な仕組み(差金決済・対象資産・レバレッジの考え方)は、CFD(差金決済取引)とは——仕組み・対象資産・レバレッジの基礎で整理しています。

最初に、CFDの取引の前提を一つお伝えします。CFDは、差し入れた証拠金以上の損失が生じうる、レバレッジ性のデリバティブ(金融派生商品)取引です。金融庁は、個人を相手方とする有価証券店頭デリバティブ取引(CFDを含みます)を、高いリスクを伴う取引として証拠金規制の対象とし、その証拠金水準は「1日の対象資産の価格変動をカバーできる水準」を基本とする考え方を示しています。本記事は、この前提のもとでリスクと証拠金まわりの仕組みを整理するものであり、CFD取引をすすめるものでも、避けるよう勧めるものでも、過度に不安を煽るものでもありません。

レバレッジによる損失の拡大

CFDは、取引したい金額の全額ではなく、その一部を証拠金として差し入れることで、証拠金を上回る規模の取引ができる仕組みです(レバレッジ、leverage、てこの原理)。

ここで最も大切なのは、レバレッジは損益のいずれの変動も大きくする、という点です。少額の証拠金で大きな金額を取引できる反面、相場が不利に動いた場合には損失も拡大し、差し入れた証拠金を上回る損失が生じることもあります。金融庁が個人向けの有価証券店頭デリバティブ(CFD)に証拠金規制を導入した背景には、こうした高いリスクから投資者を保護する考え方があります。

証拠金の割合(証拠金率)は、対象資産の種類によって規制で下限が定められています。具体的には、個別株を対象とするCFD・株価指数を対象とするCFD・債券を対象とするCFDといった対象資産ごとに、証拠金率の下限が異なる形で枠組みが定められています。ここで押さえておきたいのは、この規制は対象資産ごとに「証拠金率の下限(=レバレッジの上限)」を定める枠組みであって、各社が実際に適用する証拠金率・レバレッジは、これと同じか、より厳しい場合もあり、商品・時点によって異なるという点です。本記事では特定の証拠金率・レバレッジの数値を固定して示すことはしません。実際に適用される水準は、各社・取引所の公式情報で確認することが前提になります。

証拠金・証拠金維持率・追証・ロスカットのつながり

CFDの証拠金まわりの言葉は、互いにつながっています。整理すると、証拠金(取引のために差し入れる担保のような資金)を差し入れて取引を始め、相場が建玉(保有しているポジション)と逆に動くと評価損が出て、取引に充てられる資産が目減りします。すると、必要な証拠金に対する余力の割合である証拠金維持率が低くなり、一定の水準を下回ると、追加の証拠金を求められたり(追証、おいしょう)、建玉が強制的に決済されたり(ロスカット)することがある、という流れです。

このうち、証拠金維持率の計算方法や、何%で追証になるか・何%でロスカットになるか、判定が行われる時刻といった具体的な水準・ルールは、会社によって異なります。本記事では、特定の数値を一般論として示すことはしません。証拠金まわりの言葉のつながりそのものは、FXの証拠金の整理と同種の枠組みで理解できます(FXとCFDは別の商品ですが、証拠金・維持率・追証・ロスカットという枠組みの考え方は共通します)。枠組みの考え方はFXの証拠金・証拠金維持率・ロスカット・追証の基礎も参考になります。

追証(追加証拠金)は、一定の判定時に取引に充てられる資産が必要な証拠金を下回ったとき、その不足額を追加で預け入れるか、建玉の一部・全部を決済して不足を解消するよう求められる仕組みです。判定の時刻や、何営業日以内に解消が必要かといった取り扱いは、会社によって異なるため、利用する(または検討している)会社の公式説明で確認することが前提になります。

ロスカットは「安全装置」ではない

ロスカットは、損失が一定の水準に達したときに、業者が建玉を強制的に決済する仕組みです。損失が際限なく拡大することを一定程度抑えることを目的とした仕組みですが、ここで最も大切なのは、損失を必ず一定額に限定することを保証する仕組みではないという点です。

その背景には、判定と実行のタイミングの差があります。損失が一定の水準に達したことが判定されてから、実際の決済手続きが行われます。そのため、相場の急変、週末をはさんで週明けに価格が大きく飛ぶ場面(窓開け)、注文した価格と実際に成立した価格にずれが生じる場面(スリッページ、slippage)、流動性の低下などがあると、判定した水準よりも不利な価格で決済され、想定より大きな損失や、差し入れた証拠金を上回る損失・追証が生じることがあります。金融庁も、こうしたレバレッジ性のデリバティブ取引について、相場が急激に変動したときは証拠金の額を上回る損失が生じることがある、という趣旨の注意を示しています。ロスカットがあることをもって「安全」「安心」と捉えるのは適切ではない、という前提を押さえておくことが望まれます。

注意:ロスカットは「安全装置」ではありません

ロスカットは、損失が一定の水準に達したときに建玉を強制的に決済する仕組みですが、損失を必ず一定額に抑えることを保証するものではありません。損失が判定の水準に達してから決済の手続きが始まるため、判定と実行のタイミングの差や、相場の急変・週明けの価格の飛び(窓開け)・スプレッドの拡大・流動性の低下によって、想定より大きな損失や、差し入れた証拠金を上回る損失・追証が生じることがあります。「ロスカットがあるから安全・安心」とはいえない、という前提を押さえておくことが望まれます。なお、ロスカットが行われる水準や証拠金維持率の計算方法は会社によって異なるため、具体的な内容は各社の公式説明で確認することが前提になります。

価格の急変・流動性・スリッページ・窓開けのリスク

CFDのリスクは、レバレッジやロスカットの限界だけではありません。相場そのものの動きに関わるリスクも、あわせて押さえておくことが望まれます。

これらのリスクは、ロスカットがあっても完全には防げないことを理解しておくことが、証拠金以上の損失が生じうるという前提とあわせて重要になります。

店頭CFDは相対取引であること(業者リスクと保全)

CFDには取引所CFDと店頭CFDがあり、リスクの観点で重要な違いがあります。店頭CFDは、取扱会社が取引の相手方となる相対(あいたい)取引で、価格やスプレッドは取扱会社が提示します。取引所CFD(くりっく株365)は、東京金融取引所に上場し、複数のマーケットメイカーの提示価格から有利な価格が提供される仕組みとされています。

ここで押さえておきたいのが、顧客資産の保全に関わる違いです。くりっく株365の公式説明によると、取引所CFDのくりっく株365は投資者保護基金の対象とされ、補償の枠組みが用意されています。一方で、店頭CFDは投資者保護基金の対象外とされています。つまり、店頭CFDについては、取引所CFDと同じ投資者保護基金の補償の枠組みは適用されない、という整理です。

ただし、ここでも概念を分けて理解することが大切です。投資者保護基金をはじめとする保全の枠組みは、業者が破綻した場合などに備えるための制度であり、相場変動によって生じた損失(取引そのものの損失)を補うものではありません。「保全があるから損をしない」という関係ではない点に注意が必要です。なお、店頭CFDが投資者保護基金の対象外であることと、顧客資産の分別管理の義務がないこととは、別の事柄です。個人向けの有価証券店頭デリバティブ取引(店頭CFD)を扱う金融商品取引業者には、顧客から預かった証拠金などを自己の財産と区分して管理し、金銭を信託するといった分別管理の義務が法令上課されています。投資者保護基金の対象外であることは、この分別管理の義務がないことを意味しません。そのうえで、実際の区分管理の方法・信託先・開示の内容は会社によって異なるため、利用前の確認項目の一つになります。

注意:店頭CFDは投資者保護基金の対象外です

くりっく株365の公式説明によると、取引所CFD(くりっく株365)は投資者保護基金の対象ですが、店頭CFDは投資者保護基金の対象外とされています。店頭CFDは取扱会社が取引の相手方となる相対取引であるため、取引所CFDとは保全の枠組みが異なります。ただし、投資者保護基金の対象外であることは、顧客資産の分別管理の義務がないことを意味しません。個人向けの有価証券店頭デリバティブ取引(店頭CFD)を扱う金融商品取引業者には、顧客から預かった証拠金などを区分して管理し、金銭を信託するといった分別管理の義務が法令上課されています。なお、こうした保全の制度は業者破綻などに備えるためのものであり、相場変動による損失を補うものではありません。実際の区分管理の方法・信託先・開示の内容は会社によって異なるため、各社の公式情報で確認することが前提になります。

確認ポイント:取引所CFDと店頭CFDは「どちらが有利か」で見ない

取引所CFD(くりっく株365)と店頭CFDは、価格の決まり方・取引の相手方・投資者保護基金の対象かどうかといった点が異なります。これらは「どちらが良い・有利か」を一律に決めるためのものではなく、それぞれの仕組みとリスクの違いを理解し、利用する(または検討している)取引・会社のルールを各社・取引所の公式情報であらかじめ確認しておくための項目です。

規制と注意点(不招請勧誘の禁止・公式確認)

店頭CFDは、金融商品取引法上の店頭デリバティブ取引にあたり、不招請勧誘の禁止の対象とされています。不招請勧誘の禁止とは、顧客があらかじめ取引の勧誘を請求した場合などを除いて、訪問や電話による勧誘を行ってはならない、という規制です。各社の契約締結前交付書面でも、店頭CFD(店頭デリバティブ取引)が金融商品取引法において不招請勧誘禁止の対象である旨が説明されています。

また、店頭CFDの証拠金規制やロスカットに関わる枠組み、顧客資産の区分管理などは、金融庁の規制と、自主規制機関である日本証券業協会の自主規制によって定められています。店頭CFDの自主規制機関は日本証券業協会で、同協会は「CFD取引に関する規則」を定めているほか、「店頭CFD取引状況」として口座残高や取引状況などの統計も公表しています。これらの具体的な条件(証拠金率・維持率・ロスカット水準・区分管理の方法など)は会社によって異なるため、各社の公式情報で確認することが前提になります。

注意点(余剰資金・リスク許容度・仕組みの理解)

CFDは、差し入れた証拠金以上の損失が生じうるレバレッジ性のデリバティブ取引です。一般的な留意点としては、生活に必要な資金ではなく余剰資金の範囲で考えること、自分が許容できるリスクの範囲を踏まえること、仕組みとリスクを理解したうえで判断することが挙げられます。

これらは特定の行動を勧めるものではなく、取引の前提となる注意点を整理したものです。「初心者でも安心」「安全に始められる」といった理解は適切ではなく、仕組みとリスクを公式情報で確認したうえで、最終的な判断はご自身で行うことが前提になります。

用語の整理

この記事で扱った主な用語を整理します。

よくある確認事項

CFDのロスカットがあれば損失は限定されますか

いいえ。ロスカットは損失の拡大を一定程度抑える仕組みですが、損失を一定額に限定することを保証するものではありません。損失が判定の水準に達してから決済の手続きが始まるため、相場の急変・週明けの価格の飛び(窓開け)・スリッページ・流動性の低下により、判定した水準より不利な価格で約定し、差し入れた証拠金を上回る損失が生じることがあります。

証拠金維持率が何%でロスカットされますか

一律には決まっていません。証拠金維持率の計算方法やロスカットが行われる水準は、会社によって異なります。本記事では特定の数値を示しません。具体的な水準は、利用する(または検討している)会社の公式説明で確認することが前提になります。

追証(追加証拠金)とは何ですか

判定時に証拠金が不足したとき、その不足額を追加で預け入れるか、建玉の一部・全部を決済して不足を解消するよう求められる仕組みです。判定の時刻や、何営業日以内に解消が必要かといった取り扱いは会社によって異なるため、各社の公式情報で確認することが前提になります。

店頭CFDで会社が破綻したら預けた資金はどうなりますか

店頭CFDは取扱会社が取引の相手方となる相対取引で、くりっく株365の公式説明によると、店頭CFDは投資者保護基金の対象外とされています(取引所CFDのくりっく株365は対象とされています)。ただし、投資者保護基金の対象外であることは、分別管理の義務がないことを意味しません。個人向けの有価証券店頭デリバティブ取引(店頭CFD)を扱う金融商品取引業者には、顧客資産を区分して管理し、金銭を信託するといった分別管理の義務が法令上課されています。なお、こうした保全の枠組みは業者破綻などに備える制度であって、相場変動による損失を補うものではありません。実際の区分管理の方法・信託先・開示の内容は会社によって異なるため、各社の公式情報で確認することが前提になります。

CFDは電話や訪問で勧誘されますか

店頭CFD(店頭デリバティブ取引)は金融商品取引法上、不招請勧誘の禁止の対象とされ、顧客があらかじめ請求した場合などを除いて、訪問や電話による勧誘はできないとされています(各社の契約締結前交付書面)。

取引所CFDと店頭CFDはどちらが安全ですか

どちらが安全・有利かを一律に決めることはできません。両者は価格の決まり方・取引の相手方・投資者保護基金の対象かどうかなどが異なります(取引所CFDのくりっく株365は投資者保護基金の対象、店頭CFDは対象外とされています)。どちらもレバレッジ性のデリバティブ取引であり、差し入れた証拠金以上の損失が生じうる点は共通します。仕組みとリスクの違いを理解したうえで、各社・取引所の公式情報を確認して判断することが前提になります。

この記事はCFDのリスクを煽っていますか/すすめていますか

いいえ。本記事はCFDのリスクを公式情報に沿って整理するものであり、CFD取引をすすめるものでも、避けるよう勧めるものでも、過度に不安を煽るものでもありません。最終的な判断は、仕組みとリスクを理解したうえで、各社・取引所の公式情報を確認して行ってください。

まとめ

CFD(差金決済取引)は、差し入れた証拠金以上の損失が生じうる、レバレッジ性のデリバティブ取引です。レバレッジは損益のいずれの変動も大きくし、証拠金率の下限は対象資産ごとに規制で定められています(具体的な水準は会社・時点によって異なります)。証拠金・証拠金維持率・追証・ロスカットは互いにつながっており、維持率が一定の水準を下回ると追証やロスカットの対象になることがありますが、その判定の水準・時刻は会社により異なります。ここで最も大切なのは、ロスカットは損失の拡大を防ぐための仕組みであって、損失を一定額に限定する保証ではないという点です。相場の急変・窓開け・スリッページ・流動性の低下によって、差し入れた証拠金を上回る損失が生じることがあります。また、店頭CFDは取扱会社が取引の相手方となる相対取引で、くりっく株365の公式説明によると投資者保護基金の対象外とされています(取引所CFDのくりっく株365は対象)。ただし、投資者保護基金の対象外であることは、顧客資産の分別管理の義務がないことを意味せず、個人向けの店頭CFDを扱う業者には区分管理・信託といった分別管理の義務が法令上あります。店頭CFDは金融商品取引法上の不招請勧誘の禁止の対象とされ、証拠金規制やロスカットの枠組みは金融庁の規制と日本証券業協会の自主規制によって定められています。仕組みとリスクの全体像は本記事と公的情報で、具体的な証拠金率・維持率・ロスカット水準・保全の方法は各社・取引所の公式情報で、それぞれ確認することが前提になります。CFDの基本的な仕組みは、CFD(差金決済取引)とは——仕組み・対象資産・レバレッジの基礎で整理しています。

参照した公式情報

本記事は2026年6月12日時点で確認した公式情報をもとに作成しています。CFDの証拠金率・証拠金維持率・ロスカット水準・追証の判定時刻・顧客資産の保全の方法などは会社・取引所・時点によって異なるため、実際の条件は各社・取引所の公式情報と上記の公式情報で確認してください。

最新の取引条件・手数料・キャンペーン等は、必ず各社公式サイトでご確認ください。本ページの情報は作成時点のものです。