FXの注文方法の基礎(成行・指値・逆指値とIFD・OCO・IFOの見方)
FX(外国為替証拠金取引、foreign exchange)の画面や解説には、「成行(なりゆき)」「指値(さしね)」「逆指値(ぎゃくさしね)」、さらに「IFD」「OCO」「IFO」といった注文方法の名前が次々と出てきます。名前は聞いたことがあっても、「それぞれ何をする注文なのか」「どんなときに使われるのか」までは整理できていない人も多いと思います。この記事では、FXの主な注文方法を、一般社団法人 金融先物取引業協会(FFAJ)の「学ぼう!FX」など、公的機関が公表している情報をもとに整理します。それぞれの注文が何をするものかを、自分で確認するための前提として整理することを目的としています。
最初に問いへ短く答えておきます。成行注文は「値段を指定せず、その時のレートで注文する方法」、指値注文は「売買したいレートをあらかじめ指定する方法」、逆指値注文は「現在より不利なレートを指定する方法」です。そして、IFD・OCO・IFOは、これらを組み合わせて「新規と決済」や「利益確定と損切り」を一度に設定しておく複合的な注文方法です。ここで前提として押さえておきたいのは、どの注文方法も「成立しやすさ」と「指定した価格で約定するか」はトレードオフの関係にあり、いずれの注文も必ず約定する(成立する)とは限らないという点です。相場が急に動いた場面では、指定したレートと異なる価格で約定したり、約定しなかったりすることがあります。注文方法の名称・取扱い・設定できる条件は会社によって異なるため、実際の挙動は各社の公式説明で確認することが前提になります。
| 注文の種類 | 何をする注文か | 使われ方の例 |
|---|---|---|
| 成行注文 | 値段を指定せず、その時のレートで注文する | すぐに注文したいときに使われる(成立しやすい反面、スリッページが起こりうる) |
| 指値注文 | 売買したいレートをあらかじめ指定する | 指定した価格での約定を目指すときに使われる(レートが届かないと約定しない) |
| 逆指値注文 | 現在より不利なレートを指定する | 損失をあらかじめ限定したり、利益を確保したりするために使われる(急変時は指定価格で約定するとは限らない) |
| IFD注文 | 新規注文と決済注文を同時に出す | 相場を常に見続けられないときに使われることがある |
| OCO注文 | 2つの注文を同時に出し、片方が約定すると他方が自動で取り消される | 利益確定と損切りの両方を同時に置いておくときに使われることがある |
| IFO注文(IFDOCO) | IFDとOCOを組み合わせた注文 | 新規から決済(利益確定・損切り)までをまとめて設定するときに使われることがある |
以下では、これらの注文方法を一つずつ整理します。
成行注文とは——値段を指定せず今のレートで注文する
成行注文(なりゆき)は、値段を指定せずに、その時のレートで注文する方法です。価格を指定しないため、すぐに注文を行えて、売買が成立しやすいという特徴があるとされています。
一方で、注文から実際に約定するまでの間にレートが変動し、注文したときに見ていたレートとは異なる価格で約定すること(スリッページと呼ばれます)があります。つまり、成行注文は「成立しやすい」反面、「いくらで約定するかを自分で決められない」という性質を持っています。この二つは表裏の関係であり、どちらか片方だけを取り出して「有利・不利」と判断できるものではありません。
約定そのものやスリッページの詳しい整理は、FXの約定力とスリッページの基礎で別にまとめています。
指値注文とは——売買したいレートをあらかじめ指定する
指値注文(さしね)は、自分が売買したいレートをあらかじめ指定する注文方法です。一般に、買い注文なら現在価格より安い価格、売り注文なら現在価格より高い価格を指定し、指定した価格になると約定する、と説明されています。
指値注文は、自分の指定した価格での約定を目指せるという特徴があります。その反面、相場が指定した価格にならなければ約定が行われないため、売買が成立しにくいという面もあります。「指定した価格で約定を目指せる」ことと「そのレートに届かないと約定しない」ことは、やはり表裏の関係です。指値注文を出したからといって、必ずその価格で売買が成立するわけではない、という点が前提になります。
逆指値注文とは——現在より不利なレートを指定する
逆指値注文(ぎゃくさしね)は、現在よりも不利なレートを指定する注文方法です。一般に、買い注文なら現在価格より高い価格を、売り注文なら現在価格より安い価格を指定します。たとえば、ポジション(建玉)を持っている場合に、損失をあらかじめ限定したり、あるいは一定の利益を確保したりするために、この注文方法が使われることがあります。いわゆる「損切り注文」として使われるのも、この逆指値注文です。
ここで重要なのは、逆指値注文は損失を「あらかじめ限定する」目的で使われることがあるものであって、損失をなくす(防ぐ)ものではない、という点です。相場が急激に変動した場面や、市場の流動性が低下した場面では、指定したレートと異なる(不利な)価格で約定することがあります。逆指値注文を置いていても、こうした損失の可能性がなくなるわけではありません。
金融庁も、FXについて、証拠金以上の損失が生じるおそれのある取引であり、「相場が急激に変動したときは、証拠金の額を上回る損失が生じることがあります」と説明しています。逆指値注文を入れていても、相場急変時にはこうした損失が生じる可能性があります。実際にどの条件で約定するか(許容するスリッページの設定など)は会社によって異なるため、各社の公式説明で確認することが前提になります。
逆指値注文は、損失をあらかじめ限定する目的で使われることがありますが、損失をなくす(防ぐ)ものではありません。相場が急激に変動した場面や流動性が低下した場面では、指定したレートと異なる不利な価格で約定することがあります。金融庁も、FXは相場が急激に変動したときに証拠金の額を上回る損失が生じることがある、と説明しています。逆指値を置いていても、こうした損失の可能性がなくなるわけではない、という点を前提に押さえておくことが望まれます。
IFD・OCO・IFO——注文を組み合わせる方法
成行・指値・逆指値が「一つの注文」であるのに対し、IFD・OCO・IFOは、これらを組み合わせて複数の注文をあらかじめ設定しておく方法です。相場を常に見続けられない場合に使われることがある注文方法とされています。以下では、それぞれが何をするものかを整理します(数値はいずれも仕組みを説明するための例であり、特定の値動きや売買のタイミングを示すものではありません)。
IFD注文(イフダン、if done) は、新規注文と決済注文を同時に出す注文方法です。たとえば、米ドル/円の現在価格が1ドル100円のときに、「105円になったら買い、110円になったら売る」というように、新規の注文とその決済の注文をあらかじめ設定しておくことができます。
OCO注文(One Cancels the Other) は、一度に2つの注文を出すことができる注文方法です。たとえば、米ドル/円で買いポジション(買い建玉)を持っているときに、「110円で利益確定、90円で損切り」という2つの注文を同時に出しておくことができます。片方が約定すると、もう一方は自動的にキャンセルされます。
IFO注文(IFDOCO) は、IFD注文とOCO注文を組み合わせた注文方法です。ポジションを持つまではIFD注文、ポジションを持ってから決済まではOCO注文と同じ仕組みで動きます。新規の建玉から、その後の利益確定・損切りまでを、まとめて設定しておくときに使われることがあります。
これらの複合注文は、「相場を常に見続けられないときに、あらかじめ注文を設定しておく」という用途で使われることがある選択肢です。ただし、複合注文を使えば取引で有利になる、利益を確保できる、といったことを意味するものではありません。組み合わせた注文であっても、それぞれの注文が必ず約定するとは限らず、相場急変時には指定したレートと異なる価格で約定することがある点は、単独の注文と変わりません。
また、IFD・OCO・IFOといった名称や略称(IFDOCO・IF-OCOなど)、設定できる注文の種類や条件は、会社によって異なります。これらの注文方法に対応していない場合もあります。実際に使える注文方法は、利用する(または検討している)会社の公式説明で確認することが前提になります。
注文方法を確認するときの観点
ここまでの注文方法を、自分で確認するときの観点として整理します。
第一に、「成立しやすさ」と「指定した価格での約定」は、基本的にトレードオフの関係にあります。成行注文は成立しやすい反面、いくらで約定するかを自分で決められず、スリッページが起こりうるものです。指値注文は価格を指定できる反面、相場がそのレートに届かなければ約定しません。どちらが良い・有利ということではなく、目的に応じた使い分けの選択肢だと整理できます。
第二に、注文を出すことと、その注文が成立すること(約定)は別の段階です。指値注文は相場が指定レートに届かなければ約定せず、逆指値注文は相場急変時に指定価格と異なる不利な価格で約定することがあります。いずれの注文も「必ず・確実に」指定どおり約定するとはいえない、という点が前提になります。約定そのものの詳しい整理は、FXの約定力とスリッページの基礎で別にまとめています。
第三に、注文方法の名称・取扱い・設定できる条件は会社によって異なります。同じ注文方法でも呼び方が違ったり、対応していなかったりするため、実際に使える注文方法とその挙動は、各社の公式説明で確認することが前提になります。
なお、注文の対象となる建玉(未決済の取引)や取引数量の考え方については、FXのpips・ロット・建玉の基礎で別に整理しています。
- 使える注文方法の種類(成行・指値・逆指値、IFD・OCO・IFOなどに対応しているか)。
- 注文方法の名称・略称(IFDOCO・IF-OCOなど、会社によって表記が異なります)。
- 逆指値などで指定どおりに約定しなかった場合の取扱い(許容するスリッページの設定などを含めて、各社公式で確認できます)。
用語の整理
この記事で扱った主な注文方法を整理します。
- 成行注文(なりゆき):値段を指定せず、その時のレートで注文する方法。成立しやすい反面、約定までの間にレートが動けばスリッページが起こりうる。
- 指値注文(さしね):売買したいレートをあらかじめ指定する方法。指定した価格での約定を目指せる反面、レートが届かないと約定しない。
- 逆指値注文(ぎゃくさしね):現在より不利なレートを指定する方法。損失をあらかじめ限定したり利益を確保したりするために使われることがあるが、損失をなくすものではなく、急変時は指定価格で約定するとは限らない。
- IFD注文(イフダン):新規注文と決済注文を同時に出す注文方法。
- OCO注文(One Cancels the Other):2つの注文を同時に出し、片方が約定するともう一方が自動的にキャンセルされる注文方法。
- IFO注文(IFDOCO):IFDとOCOを組み合わせた注文方法。新規から決済までをまとめて設定するときに使われることがある。
- いずれの注文も、名称・取扱い・設定できる条件は会社によって異なり、必ず約定するとは限りません。
よくある確認事項
成行注文と指値注文は何が違うのですか
成行注文は値段を指定せずその時のレートで注文する方法で、すぐに注文でき成立しやすい反面、約定までの間にレートが動けばスリッページ(指定レートと約定レートのずれ)が生じることがあります。指値注文は売買したいレートをあらかじめ指定する方法で、指定した価格での約定を目指せる反面、相場がそのレートに届かないと約定しません。どちらが良い・有利ということではなく、目的に応じた使い分けの選択肢です。
逆指値注文を入れておけば損失を防げますか
損失を防げるとはいえません。逆指値注文は、損失をあらかじめ「限定」したり、一定の利益を確保したりする目的で使われることがありますが、損失をなくすものではありません。相場が急激に変動した場面などでは、指定したレートと異なる(不利な)価格で約定することがあります。金融庁も、FXは相場が急激に変動したときに証拠金の額を上回る損失が生じることがある、と説明しています。逆指値を置いていても、こうした損失の可能性がなくなるわけではありません。
IFD・OCO・IFOはどう違うのですか
IFD(イフダン)は新規注文と決済注文を同時に出す注文方法、OCO(One Cancels the Other)は2つの注文を同時に出して片方が約定するともう一方が自動的にキャンセルされる注文方法、IFO(IFDOCO)はIFDとOCOを組み合わせた注文方法です。いずれも、相場を常に見続けられないときに使われることがある複合的な注文です。ただし、名称・略称や取扱いは会社によって異なり、対応していない場合もあるため、各社の公式説明で確認することが前提になります。
どの注文方法を使えば有利ですか
「この注文方法なら有利」「勝てる」といえるものはありません。注文方法は、成立しやすさや指定価格での約定のしやすさといった性質が異なる、目的に応じた使い分けの選択肢です。たとえば成行は成立しやすい反面スリッページが起こりうる、指値は価格を指定できる反面そのレートに届かないと約定しない、といったトレードオフがあります。いずれの注文も必ず約定するとは限らず、注文方法そのものが取引の成果を約束するものではありません。
注文すれば必ず約定(成立)しますか
必ず約定するとは限りません。注文を出すことと、その注文が成立すること(約定)は別の段階です。指値注文は相場が指定レートに届かなければ約定せず、成行注文でも相場急変時には注文時のレートと異なる価格で約定することがあります。金融先物取引業協会も、注文が意図したとおりに約定しない可能性があることに触れています。約定そのものについては、FXの約定力とスリッページの基礎でも整理しています。
まとめ
FXの主な注文方法のうち、成行注文は値段を指定せずその時のレートで注文する方法、指値注文は売買したいレートをあらかじめ指定する方法、逆指値注文は現在より不利なレートを指定する方法です。成行は成立しやすい反面スリッページが起こりうること、指値は価格を指定できる反面そのレートに届かないと約定しないことなど、「成立しやすさ」と「指定価格での約定」は基本的にトレードオフの関係にあります。逆指値注文は損失をあらかじめ限定したり利益を確保したりするために使われることがありますが、損失をなくすものではなく、相場急変時には指定したレートと異なる不利な価格で約定することがあります。IFD・OCO・IFOは、これらを組み合わせて新規から決済までをあらかじめ設定しておく複合的な注文方法で、相場を常に見続けられないときに使われることがありますが、使えば有利になるというものではありません。いずれの注文方法も、名称・取扱い・設定できる条件は会社によって異なり、必ず約定するとは限らないため、実際に使える注文方法とその挙動は、各社の公式説明や、金融庁・金融先物取引業協会などの公式情報で確認することが前提になります。
参照した公式情報
- 金融庁「いわゆる外国為替証拠金取引について」(https://www.fsa.go.jp/ordinary/iwagai/)
- 一般社団法人 金融先物取引業協会「学ぼう!FX(取引スキーム)」(https://www.ffaj.or.jp/learning/?p=13)
- 一般社団法人 金融先物取引業協会「学ぼう!FX(FX取引に係る主なリスク)」(https://www.ffaj.or.jp/learning/?p=31)
本記事は2026年6月8日時点で確認した公式情報をもとに作成しています。注文方法の名称・取扱い・設定できる条件は会社・時点によって異なるため、実際に使える注文方法とその挙動は、各社の公式説明と上記の公式情報で確認してください。
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