NISAのつみたて投資枠と成長投資枠の使い分けを考えるときの確認ポイント

新しいNISAには、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」という二つの投資枠があります。この記事を読むと、二つの枠が制度上どう違うのか、そして使い分けを考えるときに何を確認すればよいのかが整理できます。

最初にお伝えしておきたいのは、二つの枠は「どちらかを選ぶ」ものではなく、併用できるものだという点です。そのうえで、それぞれの枠には対象となる商品や買い方、枠の大きさに違いがあります。本媒体は、どちらの枠をどう使うのが良いかを助言するものではありません。制度上の違いと、自分で配分を考えるときに確認したい観点を、金融庁・国税庁の公式情報をもとに中立に整理します。

NISA制度そのものの基本(非課税の仕組み・対象年齢・口座数・損益通算の扱いなど)は、別の記事「NISAを始める前に確認したいポイント」で整理しています。本記事は、二つの枠の使い分けに絞って整理します。

確認ポイント:この記事で整理すること二つの枠は併用できること、対象商品・買い方・枠の大きさの三つの違い、そして配分を自分で考えるときに確認したい観点を整理します。「どちらが得か」を決めるための記事ではありません。

まず前提:二つの枠は併用できる

使い分けを考えるとき、最初に外しておきたい誤解があります。それは「つみたて投資枠か、成長投資枠か、どちらか一方を選ばなければならない」という思い込みです。

金融庁の公式情報では、つみたて投資枠と成長投資枠は併用が可能とされています。つまり、二者択一ではありません。両方を同じ年に利用することもできます。

ですから、この記事で言う「使い分け」とは、「どちらか良いほうを選ぶ」という意味ではありません。「二つの枠は併用でき、それぞれ制度上の性格が異なる。その違いを踏まえて、自分でどう配分を考えるか」という意味です。優劣を決めるための比較ではない、という前提で読み進めてください。

二つの枠の違いを確認する

ここから、二つの枠が制度上どう違うのかを整理します。違いは大きく分けて、対象商品・買い方・枠の大きさの三つです。

確認する観点つみたて投資枠成長投資枠
対象商品長期・積立・分散投資に適しているとして金融庁が定める基準を満たす一定の投資信託(ETFを含む)上場株式・投資信託など、つみたて投資枠より幅広い商品(一部の商品は対象外)
年間投資枠年間120万円年間240万円
枠の役割(制度上の性格)積立による投資が前提積立・一括いずれの買い方も取りうる
非課税保有限度額の中での位置づけ総枠1,800万円まで使えるうち1,200万円が上限

それぞれの違いを、確認の観点として順に見ていきます。

対象商品の違い

二つの枠は、投資できる商品の範囲が異なります。

ここで確認したいのは、「自分が利用したいと考えている商品が、どちらの枠の対象になっているか」です。成長投資枠のほうが対象が幅広いという制度上の特性はありますが、幅広いことが自分にとって必要かどうかは別の話です。具体的にどの商品を扱っているかは金融機関によっても異なるため、利用を検討する商品がどちらの枠の対象かは、金融庁や各金融機関の公式情報で確認することが基本となります。

買い方の違い(積立/一括)

二つの枠は、買い方の前提も異なります。

つみたて投資枠は、その名のとおり積立による投資が前提です。一方、成長投資枠は、積立と一括のいずれの買い方も取りうるとされています(取り扱いは商品や金融機関によって異なるため、公式情報での確認が必要です)。

金融庁の公式情報では、買い方の例として「つみたて投資枠で積立投資を継続しながら、成長投資枠で個別銘柄に一括投資することも可能」と示されています。これは併用と買い方の組み合わせが制度上可能であることを示す一例であり、こうした使い方を推奨するものではありません。

確認したいのは、「積立で時間をかけて買い付けていきたいか」「一括での買付も選択肢に入れるか」という、自分の方針です。なお、積立による時間の分散(一定の金額やタイミングに分けて買い付ける方法)は、買付時期を分散させる方法の一つではありますが、損失を防いだり利益を保証したりするものではありません。

枠の大きさと配分の制約

二つの枠は、年間に投資できる金額と、生涯にわたって非課税で保有できる金額(非課税保有限度額)の枠が異なります。

まず、年間投資枠は次のとおりです。

次に、生涯にわたって非課税で保有できる金額(非課税保有限度額)は、総枠で1,800万円です。ここに、制度上の配分の制約があります。

注意:成長投資枠には内枠の上限がある非課税保有限度額の総枠は1,800万円ですが、このうち成長投資枠で保有できるのは1,200万円が上限とされています。つみたて投資枠は総枠1,800万円まで使えますが、成長投資枠だけで1,800万円を使い切ることはできません。

この「総枠1,800万円のうち成長投資枠は1,200万円まで」という配分の制約は、制度として定められた事実です。一方で、自分がどの枠にどれだけ充てるかは、利用したい商品・買い方・無理のない金額をもとに、自分で考える領域です。本媒体は、具体的な配分額を提案するものではありません。

売却した分の枠は翌年以降に再利用できる

使い分けを考えるうえで、もう一つ知っておきたい制度の仕組みがあります。それは、枠の再利用です。

金融庁の公式情報では、NISA口座で保有していた商品を売却した場合、翌年以降、売却した商品の簿価(取得金額、購入したときの金額)の分だけ、非課税で投資できる枠が復活し、再び利用できるとされています。

ただし、注意したい点が二つあります。一つは、枠が復活するのは売却した年ではなく、翌年以降だという点です。もう一つは、年間に投資できる金額の上限(つみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円)は別途あるという点です。つまり、枠が復活したからといって、その年のうちに何度でも無制限に投資できるわけではありません。配分は最初に固定するものではなく、こうした再利用の仕組みもあるという前提で、自分の方針を考えることになります。

配分は誰がどう決めるのか

ここまで、二つの枠の制度上の違いを整理してきました。最後に、使い分けの考え方について、本媒体の立場を整理しておきます。

二つの枠の対象商品・買い方・枠の大きさには違いがあります。しかし、これらの違いは、どちらが優れているかを示すものではありません。対象が幅広いことも、限定されていることも、中立的な制度の特性です。

どの枠にどれだけ充てるか、どちらの枠から使うかといった配分は、利用したい商品・買い方・無理のない金額などをもとに、読者ご自身が判断する領域です。本媒体は、配分の順番や金額を助言しません。制度上の違いを正しく確認したうえで、自分の方針に照らして考えることが出発点になると考えられます。

始める前にあわせて確認したい注意点

枠の使い分けを考える前に、NISA全体に共通する注意点もあわせて確認しておくことが大切です。詳しくは「NISAを始める前に確認したいポイント」で整理していますが、要点を再掲します。

注意:非課税は利益が出た場合の話で、元本割れの可能性があるNISAは、投資で利益が生じた場合にその利益が課税されない制度です。投資である以上、購入時より価格が下がれば元本割れ(投資した金額を下回ること)が生じる可能性があり、非課税という特徴は損失が生じないことを意味しません。

また、NISA口座内で生じた損失は、他の口座(特定口座・一般口座)で生じた利益と相殺する「損益通算」ができず、損失を翌年以降に繰り越す「繰越控除」もできません。国税庁の説明では、NISA口座内で生じた損失は「ないものとみなされる」とされています。どちらの枠で運用した場合でも、この点は共通します。

よくある確認事項

二つの枠の使い分けについて、確認されることの多い点を整理しました。

二つの枠は、どちらか一方しか使えないのですか

いいえ。金融庁の公式情報では、つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能とされています。二者択一ではなく、両方を利用することもできます。

成長投資枠のほうが枠が大きいので有利ですか

枠の大きさで有利・不利を断定する性質のものではありません。二つの枠は、対象となる商品や買い方が異なります。また、非課税保有限度額の総枠1,800万円のうち、成長投資枠で保有できるのは1,200万円が上限とされています。自分が利用したい商品・買い方をもとに、公式情報で確認することが基本となります。

使い分けは一度決めたら変えられませんか

NISA口座で保有していた商品を売却した場合、その商品の簿価(取得金額)の分だけ、翌年以降に非課税で投資できる枠が復活し、再び利用できるとされています。ただし、枠が復活するのは翌年以降であり、年間に投資できる金額の上限は別途あります。最新の取り扱いは、金融庁・各金融機関の公式情報で確認してください。

どちらの枠を先に使うべきですか

本媒体は、枠を使う順番や配分を助言しません。制度上は二つの枠を併用でき、対象商品・買い方・枠の大きさに違いがあります。どの枠にどれだけ充てるかは、利用したい商品・買い方・無理のない金額をもとに、読者ご自身が公式情報を確認したうえで判断する領域です。

制度はこの先変わりませんか

NISAの内容は、税制改正によって見直されることがあります。最新の制度内容は、金融庁・国税庁の公式情報で確認することが基本となります。

制度変更の予定について

2026年度税制改正大綱では、2027年1月以降の制度変更が示されています。ただし、これらはこの記事を作成した2026年6月時点では、まだ施行されていません。そのため、この記事は現行の新しいNISA(2024年開始)を基準に整理しています。最新の制度内容や変更の確定状況については、金融庁・国税庁の公式情報を確認してください。

次に読む記事

二つの枠の使い分けを考える際は、NISA制度そのものの基本や、口座を開く金融機関についての確認もあわせて行うことが考えられます。次の記事も参考になります。

使い方と免責

この記事は、NISAのつみたて投資枠と成長投資枠の制度上の違いと、使い分けを考えるときに確認したい観点を、公式情報をもとに整理したものです。記載内容は、作成・確認した時点の公式情報にもとづいています。制度の変更により、実際の内容と異なる場合があります。

どの枠をどう使うか、金融機関や投資する商品をどう選ぶかといった最終的な判断は、読者ご自身が公式情報を確認したうえで行ってください。本媒体は、特定の枠・商品・金融機関を推奨するものではなく、投資判断を助言するものでもありません。最新の制度内容や詳細は、金融庁・国税庁の公式情報、および各金融機関の公式情報でご確認ください。

参照した公式情報

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