配当金の基礎を確認する
株式を持つことに関心を持ったとき、「配当金」という言葉を目にすることがあります。配当金は、会社が得た利益の一部を株主に分配するものですが、その金額や有無は会社の状況によって変わり、必ず受け取れると約束されたものではありません。また、配当を受け取るには「いつまでに株式を持っていればよいか」という、権利が確定する日の仕組みを理解しておく必要があります。
この記事では、配当金に関する基本項目を、公式情報ベースで整理します。配当利回りの高低を「お得」「有利」と評価したり、特定の銘柄や買い時を示したりするものではありません。配当がどのような仕組みで支払われるかを確認するための見取り図として読んでいただくことを想定しています。税金の詳細な取扱いについては、国税庁の公式情報でご確認ください。
なお、株式取引そのものの仕組み(単元株・約定から受渡まで など)は、国内株式(現物)取引の基礎を扱う記事で整理する予定です。
配当金とは
配当金とは、会社が事業活動によって得た利益の一部を、株主に分配するものです。これは、株主が持つ利益配当請求権に対応する仕組みです。
金融経済教育推進機構(J-FLEC)の説明によると、配当の有無や金額は会社の利益の状況によって決まり、株式を買えば必ず配当が受け取れるわけではありません。配当を支払う会社の場合、年1回(本決算時)、あるいは中間決算を入れて年2回支払う会社が多いとされています。
配当は会社の利益から分配されるものであり、その金額や有無は会社ごと・期ごとに異なります。この点が、後述する「無配・減配もありうる」という前提につながります。
配当を受け取れる株主が決まる日(権利確定日)
配当は、ある特定の日に株主名簿に登録されている株主に対して支払われます。この基準となる日を「権利確定日(基準日)」といいます。権利確定日は、多くの場合、会社の決算日と同じ日に設定されています。
ここで注意したいのは、株式を買ってから株主名簿に登録されるまでには、受渡(決済)が完了している必要があるという点です。国内株式(現物)取引の基礎を扱う記事で整理するとおり、日本株は約定日から起算して3営業日目(2営業日後)に受渡が行われます(T+2)。このため、権利確定日に株主名簿へ登録されているためには、その数営業日前までに買付の約定をしておく必要があります。
権利付最終日と権利落ち日
この「いつまでに買えばよいか」を整理するための用語が、権利付最終日と権利落ち日です。J-FLEC の用語集の整理によると、それぞれ次のように定義されます。
- 権利付最終日:その期の配当などの権利を得るために、買付の約定をしておく必要がある最終の営業日。権利確定日の2営業日前にあたります。
- 権利落ち日:権利付最終日の翌営業日。権利確定日の1営業日前にあたります。この日以降に買っても、その期の配当の権利は得られません。
つまり、権利落ち日(権利確定日の1営業日前)の前営業日が権利付最終日であり、それが権利確定日の2営業日前にあたる、という関係です。なお、営業日の数え方の起点によっては、権利付最終日を「権利確定日から起算して3営業日前」と表現する資料もありますが、指している日は同じです。
権利落ち日には、理論上、配当に相当する分だけ株価が下がる傾向があるとされています。ただし、株価はそのほかにもさまざまな要因で変動するため、必ず理論どおりに動くわけではありません。
配当の受取方法
上場株式の配当金を受け取る方法には、主に4つの方式があります。日本証券業協会(JSDA)の整理によると、次のとおりです。
- 株式数比例配分方式:保有する株数に応じて、証券口座で配当金を受け取る方式
- 登録配当金受領口座方式:指定した1つの金融機関口座で、すべての配当金をまとめて受け取る方式
- 個別銘柄指定方式:銘柄ごとに、指定した口座で配当金を受け取る方式
- 配当金領収証方式:送られてくる配当金領収証を、金融機関の窓口などで換金する方式
どの方式を選ぶかは、配当金をどのように受け取りたいかによって異なります。
NISAで配当を非課税にする場合の注意(株式数比例配分方式)
NISA口座で保有する株式の配当金を非課税で受け取るには、注意が必要です。JSDA の整理によると、NISA口座で配当金を非課税で受け取れるのは、「株式数比例配分方式」を選んでいる場合のみとされています。
それ以外の受取方式(登録配当金受領口座方式・個別銘柄指定方式・配当金領収証方式)を選んでいる場合は、NISA口座で保有していても配当金は非課税にならない点に注意が必要です。受取方式の設定は証券会社で行うため、具体的な手続きは利用する証券会社の公式情報で確認することが基本です。
配当にかかる税金の基礎(概要)
ここでは、配当にかかる税金の枠組みを概要として整理します。具体的な計算や課税方式の選択については、国税庁の公式情報で確認することを前提とします。
国税庁の説明によると、上場株式等の配当(大口株主等を除く)には、所得税・復興特別所得税15.315%と住民税5%、合計で**20.315%**が源泉徴収されます。
課税方式については、次の中から選ぶことができるとされています。
- 申告不要:源泉徴収だけで課税関係を完結させる方式
- 申告分離課税:税率20.315%で申告する方式。上場株式等の譲渡損失と損益通算できる場合があります
- 総合課税:他の所得と合算して申告する方式。配当控除の対象となる場合があります
どの方式を選ぶかは、個々の状況によって取扱いが異なります。また、発行済株式の一定割合以上を保有する大口株主は、取扱いが異なります。どの方式が自分に適しているかの判断や、具体的な手続きは、国税庁の公式情報(「No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)」「No.1331 上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度」)で確認することが望まれます。
無配・減配もありうる
配当について確認しておきたいのは、配当は会社が必ず支払うものではないという点です。
配当の有無や金額は、会社の利益の状況によって決まります。業績などによっては、配当が支払われない(無配)、あるいは前期より配当額が減る(減配)こともあります。過去に配当があった会社が、将来も同じ水準の配当を続ける保証はありません。
このため、配当利回りの高さなどをもって「お得」「有利」と評価することは、この記事では行いません。配当は確約されたものではないという前提を理解しておくことが基本です。また、株式は配当の有無にかかわらず株価が変動するものであり、投資した資産が値下がりして損失が生じる可能性があります。
用語整理
この記事で扱った用語のうち、初めての方が確認しておきたいものを整理します。
- 配当金:会社が得た利益の一部を株主に分配するもの。有無・金額は会社の利益の状況によって決まります。
- 権利確定日(基準日):配当を受け取れる株主が確定する基準日。多くは会社の決算日と同じ日に設定されます。
- 権利付最終日:その期の配当の権利を得るために買付の約定をしておく必要がある最終営業日。権利確定日の2営業日前にあたります。
- 権利落ち日:権利付最終日の翌営業日(権利確定日の1営業日前)。この日以降に買っても、その期の配当の権利は得られません。
- 株式数比例配分方式:保有株数に応じて証券口座で配当金を受け取る方式。NISA口座で配当を非課税で受け取るにはこの方式を選ぶ必要があります。
よくある確認事項
株を買えば配当金は必ずもらえますか
必ずもらえるわけではありません。配当の有無や金額は会社の利益の状況によって決まり、業績などによっては無配・減配となることもあります。過去に配当があった会社が将来も同じ配当を続ける保証はありません。配当を支払っている会社の場合は、年1回または年2回支払う会社が多いとされています。
いつまでに買えば配当の権利が得られますか
配当を受け取るには、権利確定日(基準日)の時点で株主名簿に登録されている必要があります。そのためには、権利確定日の2営業日前にあたる「権利付最終日」までに買付の約定をしておく必要があります。権利落ち日(権利確定日の1営業日前)以降に買っても、その期の配当の権利は得られません。具体的な各社の権利確定日は、会社の公式情報(IR情報)で確認してください。
NISAなら配当も非課税になりますか
NISA口座で保有する株式の配当金を非課税で受け取れるのは、受取方式として「株式数比例配分方式」を選んでいる場合のみとされています。それ以外の受取方式では、NISA口座で保有していても配当金は非課税になりません。受取方式の設定は証券会社で行うため、手続きは利用する証券会社の公式情報で確認してください。
配当にはどのくらい税金がかかりますか
上場株式等の配当(大口株主等を除く)には、所得税・復興特別所得税15.315%と住民税5%、合計20.315%が源泉徴収されます。課税方式には申告不要・申告分離課税・総合課税があり、どれを選ぶかは個々の状況によって取扱いが異なります。具体的な計算や選択の判断は、国税庁の公式情報で確認することが望まれます。
まとめ
この記事では、配当金に関する基本項目を整理しました。配当は会社の利益の一部を株主に分配するものであること、受け取るには権利確定日の2営業日前にあたる権利付最終日までに買付の約定をしておく必要があること、受取方式が4つありNISAの非課税には株式数比例配分方式が必要なこと、配当には原則20.315%が源泉徴収されること、そして配当は無配・減配もありうる確約されたものではないこと――これらは、配当の仕組みを理解するための基本となる枠組みです。
ここで整理した内容は、何を見て理解するかの見取り図です。配当の有無・金額は会社の状況によって変わり、税の取扱いは個々の状況や制度改正によって変わります。実際の確認は、各社の公式情報や国税庁の公式情報を読者ご自身が確認したうえで行ってください。
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