国内株式(現物)取引の基礎を確認する

国内株式(現物)を始めようとするとき、最初に気になるのは「どの銘柄を買うか」かもしれません。けれども、その前に確認しておきたいのは、株式とはそもそも何か、株主にはどのような権利があるのか、そして売買がどのような仕組みで成立し決済されるのか、という基本の枠組みです。

この記事では、国内株式(現物)取引を始める前に一般に確認される基本項目を、公式情報ベースで整理します。「取引がどのような仕組みで動いているか」を確認するための見取り図として読んでいただくことを想定しています。取引時間や制度は変わることがあるため、最新の情報は各取引所・各証券会社の公式情報でご確認ください。

なお、証券口座の種別や顧客資産の保護の仕組みは、証券会社を選ぶ前に確認したい基本項目で整理しています。本記事は、それをふまえたうえで「国内株式の現物取引そのものの仕組み」に絞って確認します。

株式とは何か・株主になると得られる権利

株式とは、株式会社が資金を集めるために発行するもので、これを購入して会社に出資した人を「株主」といいます。株主は、出資した額に応じて、会社に対するさまざまな権利(株主権)を持つことになります。

株主の3つの権利

金融経済教育推進機構(J-FLEC)の整理によると、株主が持つ主な権利は次の3つです。

これらは、株主が出資者として会社に関わるうえでの基本的な権利です。このうち配当を受け取る仕組みについては、配当金の基礎を扱う記事で別途整理する予定です。

現物取引とは

現物取引とは、自分が用意した資金の範囲で株式を売買し、買った株式を保有する取引のことです。手元の資金で買える分だけ売買するという、株式取引の基本的な形です。

これに対して、証券会社から資金や株式を借りて売買する「信用取引」という方法もありますが、仕組みやリスクの性質が異なります。本記事では、まず基本となる現物取引の仕組みを確認します。

なお、現物取引であっても、株価は変動するものであり、買った株式の価値が値下がりして損失が生じる可能性があります。この点は、どの取引であっても共通する前提です。

取引の単位(単元株制度)

国内株式は、1株単位ではなく、一定のまとまった株数を売買単位として取引するのが基本です。

東京証券取引所では、各上場会社が定款で定める「単元株式数」を売買単位として取引します。この単元株式数は、2018年10月1日に100株へ統一されました。上場規則上、単元株式数を100株以外に変更することはできないとされています。

このため、国内株式は原則として「100株(1単元)」を単位として売買するのが基本となります。なお、証券会社のサービスとして1株単位で売買できる「単元未満株」の仕組みもありますが、これについては別の記事で整理します。

単元株式数の統一に関する制度は、最新の内容を日本取引所グループ(JPX)の公式情報で確認することが基本です。

取引できる時間帯(立会時間)

株式の売買が成立する取引所での取引(立会取引)には、決められた時間帯があります。

取引所での売買立会は、午前の立会(前場)と午後の立会(後場)に分かれています。

後場の終了時刻は、従来15:00でしたが、2024年11月5日から15:30へ30分延伸されました。あわせて、後場の立会終了前の一定時間(15:25〜15:30)に注文を呼び込み、15:30に板寄せという方法で約定させる「クロージング・オークション」が導入されています。

なお、証券会社によっては、立会取引の時間外に独自の取引のしくみを提供している場合もあります。取引時間や制度は変わることがあるため、最新の取引時間は各取引所・各証券会社の公式情報で確認することが基本です。

注文の出し方(成行注文・指値注文)

株式を売買するときの注文の出し方には、大きく分けて「成行注文」と「指値注文」があります。

成行注文と指値注文には、それぞれこうした性質の違いがあります。どちらを使うかは、約定のしやすさと値段の確実性のどちらを優先するかによって、性質が異なるという点を理解しておくことが基本です。

売買が成立する順序(価格優先・時間優先の原則)

取引所での売買は、「競争売買」という仕組みで成立します。多数の注文の中から、どの注文を優先して成立させるかには、次の原則があります。

成行注文が指値注文より優先されるのも、この競争売買の原則の一部です。これらは、注文がどのような順序で成立するかを理解するための基本的な仕組みです。

約定から受渡まで(T+2)

株式を売買するとき、「約定」と「受渡」は別の日に行われます。

日本株は、2019年7月16日の約定分から「T+2」化されています。T+2とは、約定した日(T)から起算して3営業日目、すなわち約定日の2営業日後に受渡を行うという意味です。

この「約定日と受渡日が異なる」という点は、配当や株主優待の権利が得られる日を理解するうえで重要になります。権利を得るためには受渡が完了している必要があるため、いつまでに買えば権利が得られるかが、この受渡のタイミングと関係してきます。詳しくは配当金の基礎を扱う記事で整理する予定です。

用語整理

この記事で扱った用語のうち、初めての方が確認しておきたいものを整理します。

よくある確認事項

国内株式は何株から買えますか

国内株式は、原則として100株(1単元)を単位として売買するのが基本です。単元株式数は2018年10月1日に100株へ統一されています。ただし、証券会社のサービスとして1株単位で売買できる「単元未満株」の仕組みもあります。具体的な取扱いは会社によって異なるため、各社の公式情報で確認してください。

成行注文と指値注文はどちらを使えばよいですか

どちらが良いかを一律に決められるものではありません。成行注文は値段を指定しないため約定が成立しやすい一方、想定外の値段で約定する可能性があります。指値注文は値段を指定できますが、条件に達しないと約定しないことがあります。約定のしやすさと値段の確実性のどちらを優先するかによって性質が異なる、という前提で、自分の取引のしかたに合わせて確認することが基本です。

株を買った代金はいつ引き落とされますか

株式の売買では、約定(売買の成立)と受渡(決済)は別の日に行われます。日本株は、約定した日から起算して3営業日目(2営業日後)に受渡が行われます(T+2)。具体的な代金のやりとりの取扱いは各証券会社によって異なるため、利用する証券会社の公式情報で確認してください。

取引時間はいつですか

取引所での売買立会は、前場が9:00〜11:30、後場が12:30〜15:30です。後場の終了時刻は2024年11月5日に15:00から15:30へ延伸されました。なお、証券会社によっては立会時間外の取引のしくみを提供している場合もあります。取引時間や制度は変わることがあるため、最新の情報は各取引所・各証券会社の公式情報で確認してください。

まとめ

この記事では、国内株式(現物)取引を始める前に一般に確認される基本項目を整理しました。株主が持つ3つの権利、単元株という売買単位、立会時間、成行・指値の注文方法、価格優先・時間優先の約定の原則、そして約定から受渡までのT+2という流れは、いずれも取引の仕組みを理解するための基本となる枠組みです。

ここで整理した内容は、何を見て理解するかの見取り図です。取引時間や制度の細目は時点によって変わることがあり、株価は変動して損失が生じる可能性もあります。実際の取引の判断は、読者ご自身が各取引所・各証券会社の公式情報を確認したうえで行ってください。

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