ETF(上場投資信託)の基礎を確認する
ETF(上場投資信託)に関心を持ったとき、最初に気になるのは「どの ETF を選ぶか」かもしれません。けれども、その前に確認しておきたいのは、ETF とはそもそもどのような仕組みで、一般の投資信託と何が違うのかという点です。名前に「投資信託」と付くとおり、ETF は投資信託の一種ですが、上場しているという特徴から、売買のしかたやコスト、確認すべき論点に独自の点があるためです。
この記事では、ETF を確認するうえで一般に押さえておきたい基本項目を、公式情報ベースで整理します。「ETF とは何か、一般の投資信託と何が違うか、自分で何を確認するか」を確認するための見取り図として読んでいただくことを想定しています。なお、投資信託そのものの基本(コスト・基準価額・分配金など)は、投資信託を始める前に確認したい基本で整理しています。本記事は、これをふまえたうえで「上場している投資信託としての ETF」に絞って確認します。
ETF(上場投資信託)とはどのような商品か
ETF とは、「Exchange Traded Funds」の頭文字をとったもので、日本語では上場投資信託と呼ばれます。資産運用業協会の情報によると、ETF は証券取引所に上場し、株価指数などに代表される指標への連動を目指す投資信託とされています。
たとえば TOPIX(東証株価指数)に連動する ETF であれば、TOPIX とほぼ同じ値動きをするように運用されるため、その ETF を保有することで、TOPIX を構成する銘柄全体に投資するのとほぼ同じ効果が得られる、と説明されています。一つの銘柄を買うだけで幅広い対象に分散して投資する形になりうる点が、特徴の一つとして挙げられます。ただし、これは「分散しているから損をしない」という意味ではありません。連動の対象となる指数そのものが値動きするため、価格変動のリスクがある点は、あとで改めて確認します。
なお、連動の対象や運用の方針といった重要な情報は、各 ETF の目論見書などの公式資料で確認できます。
一般の投資信託との違いを確認する
ETF と一般の投資信託は、どちらも投資信託である点は共通しています。そのうえで両者を分ける大きな違いは、上場しているか/していないか、つまり証券取引所を通じて取引するかしないかという点だとされています。
上場している/市場価格でリアルタイムに売買できる
ETF は証券取引所に上場しているため、上場株式と同じように、取引時間中は市場でリアルタイムに値動きします。一方、一般の投資信託は取引所に上場しておらず、注文した当日には売買の価格(基準価額)が分からず、原則として翌営業日に算出される基準価額で約定する、という性質があります。
この違いから、ETF では「いま市場でいくらで取引されているか」を見ながら売買できるのに対し、一般の投資信託は注文時点では取引価格が確定していない、という整理になります。
注文方法(指値・成行)の違い
ETF は上場株式と同じように、価格を指定して注文する指値注文と、価格を指定せずに注文する成行注文のどちらも出すことができます。一般の投資信託は、こうした指値・成行といった注文方法をとらず、基準価額に基づいて約定する仕組みです。
ここで確認しておきたいのは、ETF も一般の投資信託も、上位の概念としてはどちらも投資信託である、という点です。「ETF と投資信託は別物」と受け取るより、「投資信託のうち、取引所に上場しているものが ETF」と理解しておくと、違いを整理しやすくなります。証券口座での売買の基本については、証券会社を選ぶ前に確認したい基本項目もあわせてご確認ください。
ETF が連動を目指す指数とは
ETF は、特定の指数に連動する成果を目指して運用されるのが一般的です。連動の対象としては、日経平均株価、TOPIX、S&P500 などの指数が挙げられます。どの指数に連動することを目指すかは、その ETF の運用方針として明示されます。
確認しておきたいのは、ETF を見るときは「何に連動することを目指している商品か」を運用方針で確かめる、という点です。指数の連動を実現するための仕組みにはいくつかの種類があると説明されますが、基本を確認する段階では、「指数に連動する成果を目指す仕組みがある」という理解で十分です。
連動の対象となる指数や、その指数に連動する仕組みは、各 ETF の目論見書などの公式資料で確認できます。
市場価格と基準価額の関係
ETF には、二つの価格があります。一つは市場価格で、これは証券取引所で実際に売買されている取引価格です。もう一つは基準価額で、これは ETF が保有する資産などから算出される一口あたりの純資産価値にあたり、原則として一日に一回算出されます。
この二つは、近づくように設計されているとされますが、市場での需要と供給などの影響により、必ずしも一致するとは限りません。市場価格と基準価額のずれは「乖離」と呼ばれ、市場価格が基準価額より高い側に振れることも、低い側に振れることもあります。
また、ETF のリターンと、連動を目指す指数のリターンとの差を示す概念として「トラッキングエラー」という言葉が使われることもあります。ここで押さえておきたいのは、ETF は指数への連動を目指す商品ではあるものの、市場価格が基準価額と完全に一致するとは限らず、また指数の動きに完全に一致するとも限らない、という点です。これらは概念として理解しておき、実際の状況は各 ETF の公式資料などで確認することになります。
ETF にかかるコストを確認する
ETF にも、コストがかかります。大きく分けると、保有している間にかかる信託報酬(運用管理費用)と、売買するときにかかる売買手数料です。
ETF は、一般の投資信託に比べると、購入時の手数料や信託報酬が比較的低い傾向があるとされることがあります。ただし、これはあくまで一般的な傾向にとどまり、コストの水準は商品・運用会社・時点によって異なります。「ETF はコストが安いからお得」と一律に判断できるものではなく、同じ ETF というくくりの中でも商品ごとに差がある点に注意が必要です。
具体的な料率は、各 ETF の目論見書や、売買を行う証券会社の公式情報で確認できます。コストの考え方の全体像については、投資信託を始める前に確認したい基本でも整理しています。
分配金について確認する
ETF でも、運用の状況に応じて分配金が支払われることがあります。ここで確認しておきたいのは、分配金が出ること自体は、必ずしも利益が出ていることを意味しない、という点です。
分配金が支払われても、ETF の市場価格や基準価額そのものは値動きするため、価格が下がれば元本割れが生じることもあります。分配金の額の大きさだけを見て利益が出ていると判断するのではなく、価格の動きとあわせて全体を見る必要があります。分配金の方針や実績は、各 ETF の公式資料で確認できます。
ETF のリスクを確認する
ETF にもリスクがあります。確認しておきたい主なものを整理します。
- 価格変動リスク:ETF が連動を目指す指数が下落すれば、ETF の価格も下落します。「指数に連動するから安全」という受け取り方は適切ではありません。指数そのものが値動きするものである以上、ETF にも価格変動のリスクがあります。
- 流動性リスク:ETF は市場で売買されるため、市場の需給や環境によっては、希望する価格で売買できなかったり、売却に時間がかかったりすることがあります。
- 元本は保証されない:ETF は投資信託の一種であり、預金とは異なって元本が保証されているものではありません。購入時より価格が下がれば、投資した金額を下回ること(元本割れ)が生じうるものです。
証券取引に共通するリスクの整理は、証券取引のリスクを確認するでまとめています。あわせてご確認ください。
用語整理
この記事で扱った用語のうち、確認しておきたいものを整理します。
- ETF(上場投資信託):証券取引所に上場し、株価指数などの指標への連動を目指す投資信託。「Exchange Traded Funds」の頭文字。
- 市場価格:証券取引所で実際に売買されている ETF の取引価格。取引時間中にリアルタイムで変動します。
- 基準価額:ETF が保有する資産などから算出される一口あたりの純資産価値。原則として一日に一回算出されます。
- 乖離:市場価格と基準価額のずれ。需給などにより、必ずしも両者は一致しません。
- トラッキングエラー:ETF のリターンと、連動を目指す指数のリターンとの差を示す概念。
- 信託報酬(運用管理費用):ETF を保有している間にかかる費用。
よくある確認事項
ETF と投資信託は何が違いますか
どちらも投資信託である点は共通しています。大きな違いは、ETF が証券取引所に上場しているという点です。ETF は上場株式と同じように、取引時間中に市場でリアルタイムに値動きし、指値注文・成行注文を出すことができます。一方、一般の投資信託は上場しておらず、注文した当日には取引価格(基準価額)が分からず、原則として翌営業日の基準価額で約定します。「投資信託のうち、取引所に上場しているものが ETF」と整理しておくと分かりやすくなります。
ETF はコストが安いからお得ですか
ETF は一般の投資信託に比べてコストが比較的低い傾向があるとされることがありますが、これはあくまで一般的な傾向であり、お得かどうかを一律に判断できるものではありません。コストの水準は商品・運用会社・時点によって異なり、同じ ETF というくくりの中でも差があります。具体的な料率は、各 ETF の目論見書や証券会社の公式情報で確認することが基本になります。
指数に連動する ETF なら安全ですか
そうとは限りません。ETF は指数への連動を目指す商品ですが、連動の対象となる指数そのものが値動きします。指数が下落すれば、ETF の価格も下落します。「指数に連動するから安全」という受け取り方は適切ではなく、ETF にも価格変動のリスクがあり、元本は保証されていません。
市場価格と基準価額はいつも同じですか
必ずしも同じではありません。ETF には、取引所で売買される市場価格と、原則として一日に一回算出される基準価額の二つがあります。両者は近づくように設計されているとされますが、市場の需給などにより一致しないことがあり、このずれは「乖離」と呼ばれます。実際の市場価格と基準価額の状況は、各 ETF の公式情報で確認できます。
まとめ
この記事では、ETF(上場投資信託)を確認するうえで一般に押さえておきたい基本項目を整理しました。ETF は、証券取引所に上場し、株価指数などの指標への連動を目指す投資信託です。一般の投資信託との大きな違いは、上場しているため取引時間中に市場でリアルタイムに売買でき、指値・成行の注文を出せる点にあります。ETF には市場価格と基準価額の二つがあり、両者は必ずしも一致せず、指数への連動も完全とは限りません。コストは比較的低い傾向があるとされることもありますが、商品ごとに差があり、分配金が出ること自体は利益を意味するものではありません。そして、指数が下落すれば ETF の価格も下落し、元本は保証されていません。これらの料率・運用方針・リスクは、いずれも目論見書などの公式資料で確認するのが基本となります。自分が気になる ETF を確認するための見取り図として使っていただければと思います。
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