特定口座と一般口座・源泉徴収の基礎

証券口座を開くとき、多くの場合「特定口座(源泉徴収あり)」「特定口座(源泉徴収なし)」「一般口座」のいずれかを選ぶことになります。これらは、商品や取引そのものが違うわけではなく、株式などの売買で生じた損益の計算や、税金の手続きを誰がどこまで行うかという扱いが異なる区分です。

この記事では、特定口座と一般口座の違い、源泉徴収ありを選んだ場合の確定申告の要否(原則と例外)、年間取引報告書の位置づけ、NISA口座との関係を、国税庁の公式情報をもとに整理します。なお、本記事は一般的な制度の説明であって、税務相談でも投資助言でもありません。どの口座が一律に有利・お得ということを示すものでもありません。申告の要否や手続きは各自の状況によって異なるため、最終的には国税庁・税務署や税理士の最新情報で確認することが基本となります。

株式の口座は大きく三種類——特定口座と一般口座

上場株式などを取引する課税口座は、大きく「特定口座」と「一般口座」に分かれます。特定口座はさらに「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」に分かれるため、選択肢としては次の三つになります。

口座種別年間の損益計算源泉徴収確定申告(原則)
特定口座(源泉徴収あり)証券会社などが行うあり原則として不要(例外あり)
特定口座(源泉徴収なし)証券会社などが行うなし必要となる場合がある
一般口座原則として自分で行うなし必要となる場合がある

この表は、それぞれの口座での一般的な扱いを整理したものです。実際の手続きは各自の状況によって変わるため、目安として確認したうえで、詳細は公式情報で確認することが望まれます。

特定口座とは

特定口座は、証券会社などの金融商品取引業者が、その口座内の上場株式等の譲渡(売買)による損益を計算してくれる制度です。国税庁の説明では、特定口座を開設した場合、特定口座内の上場株式等の譲渡による所得等の金額は、特定口座外で譲渡した株式等の所得とは区分して計算するとされています。

この計算結果は、後述する「特定口座年間取引報告書」として作成されます。投資家自身が一年間の売買をすべて集計し直す負担を軽くできる点が、特定口座の特徴とされています。

一般口座とは

一般口座は、特定口座を開設しない場合の口座です。特定口座のような業者による損益計算・年間取引報告書の交付という仕組みがないため、年間の損益の計算は、原則として投資家自身が行うことになります。

そのため、一般口座で取引を行い、申告が必要な所得が生じた場合は、自分で損益を計算したうえで確定申告を行うのが基本となります。なお、どの口座を開設できるか、どのような書類が交付されるかといった細目は各社・各自の状況によって異なるため、公式情報で確認することが望まれます。

特定口座の「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」

特定口座を選ぶ場合は、申し込みの際に「源泉徴収あり」か「源泉徴収なし」かを選択します。この選択によって、税金の納め方と確定申告の扱いが変わります。

源泉徴収あり(源泉徴収口座)

源泉徴収ありの特定口座(源泉徴収口座)では、譲渡益が生じると、その譲渡益に相当する金額に対して、証券会社などが税金を源泉徴収します。国税庁の説明では、源泉徴収される所得税および復興特別所得税の税率は15.315パーセントで、これとは別に住民税5パーセントがかかるとされています。所得税・復興特別所得税と住民税を合わせると、合計20.315パーセントです。

源泉徴収ありを選ぶと、その特定口座内の上場株式等の譲渡による所得を、原則として確定申告しないこと(申告不要)ができるとされています。税金の計算と納付が口座内で完結するため、申告の手間を抑えやすい点が特徴として挙げられます。ただし、この「原則申告不要」にはいくつかの例外があり、その点は次章で整理します。

源泉徴収なし(簡易申告口座)と年間取引報告書

源泉徴収なしの特定口座(簡易申告口座)では、譲渡益が生じても口座内で源泉徴収は行われません。そのため、所得が生じて申告が必要な場合は、確定申告を行うことになります。

このとき役立つのが「特定口座年間取引報告書」です。これは、その年の特定口座内の譲渡損益などを証券会社などがまとめた書類で、国税庁の説明でも、この年間取引報告書によって簡便に申告ができるとされています。源泉徴収なしを選んでも、年間取引報告書が交付されるため、一般口座のように自分で一から損益を集計し直す負担は軽くなるとされています。

確定申告は必要か——原則と例外

確定申告が必要かどうかは、選んだ口座種別と各自の状況によって変わります。ここでは代表的な考え方を整理しますが、前提や例外が多いため、最終的な要否は国税庁・税務署で確認することが前提となります。

源泉徴収ありは原則申告不要

源泉徴収ありの特定口座では、譲渡益に対する税金が口座内で源泉徴収されるため、その口座内の所得については原則として確定申告をしないことができるとされています。給与所得者などで、ほかに申告すべき事情がない場合には、この申告不要の仕組みを利用することが考えられます。

なお、給与所得者の確定申告については、国税庁が一般的な目安を示しています。たとえば、給与を一か所から受けていて、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合に、給与所得・退職所得を除く各種の所得金額の合計額が20万円を超える人は、確定申告が必要とされています。ただし、源泉徴収ありの特定口座で申告不要を選択した所得の扱いなど、この判定には前提や例外が多くあります。自分の場合に申告が必要かどうかは、各自の状況によって異なるため、国税庁・税務署で確認することが基本となります。

損益通算・繰越控除の適用を受けるために確定申告をする場合(複数口座の損益通算、繰越控除など)

源泉徴収ありの特定口座は、その口座内の所得について原則として確定申告をしないこと(申告不要)を選べます。これは、源泉徴収なしの特定口座や一般口座で申告が必要な所得が生じ、確定申告の義務がある場合とは性格が異なります。そのうえで、源泉徴収ありで原則申告不要となる場合でも、次のような損益通算・繰越控除といった制度の適用を受けたいときには、その適用を受けるために確定申告をすることになります。納税のために新たに申告義務が生じるというより、任意に制度の適用を受けるための手続きとして申告が必要になる、という関係です。

これらはいずれも、源泉徴収ありの特定口座で原則申告不要であっても、損益通算や繰越控除といった制度の適用を受けたい場合に、その適用を受けるために確定申告をするケースです。申告そのものが義務として課されるというより、任意に制度の適用を受けるために申告する、という位置づけになります。ただし、これらは「必ず使える節税策」ではなく、要件を満たした場合に適用される制度です。適用の可否や手続きは各自の状況によって異なるため、国税庁・税務署で確認することが望まれます。

なお、株式等の譲渡益や配当そのものにかかる税金の仕組み(申告分離課税や配当の課税方法、損益通算・繰越控除の全体像)については、株式投資の税金の基礎(譲渡益・配当課税)であわせて整理しています。

NISA口座との関係(概要)

ここまで取り上げた特定口座・一般口座は、利益に税金がかかる「課税口座」です。これに対してNISA口座は、一定の範囲で利益が課税されない非課税口座であり、課税口座とは別枠で扱われます。

注意したい点として、NISA口座内で生じた損失は、特定口座や一般口座など課税口座の利益と損益通算することができず、繰越控除の対象にもなりません。国税庁の説明では、NISA口座内で生じた損失はないものとみなされるとされています。NISA制度の枠組みや注意点の詳細は、NISAを始める前に確認したいポイントで整理していますので、あわせてご確認ください。

よくある確認事項

口座種別について、確認されることの多い点を整理しました。いずれも一般的な制度の説明であり、個別の判断は各自の状況によって異なります。

特定口座と一般口座はどう違いますか

特定口座は、証券会社などが一年間の譲渡損益を計算し、特定口座年間取引報告書を交付してくれる口座です。一般口座は、こうした損益計算・報告書交付の仕組みがないため、損益の計算や申告の準備を原則として自分で行うことになります。税金に関する取扱いの詳細は、国税庁の公式情報で確認することが望まれます。

どの口座が一番お得ですか

どの口座が一律に有利・お得ということではありません。源泉徴収あり・源泉徴収なし・一般口座のいずれを選ぶかは、確定申告の手間や各自の状況によって変わります。本媒体は特定の口座種別や証券会社を推奨するものではなく、手続き上の違いを整理しています。自分に合う選び方は、公式情報を確認したうえで判断することが基本となります。

源泉徴収ありなら確定申告は不要ですか

源泉徴収ありの特定口座では、その口座内の所得について原則として確定申告をしないことができるとされています。ただし、複数の口座の損益を相殺(損益通算)したい場合や、譲渡損失の繰越控除を受けたい場合などには、確定申告が必要になります。自分の場合に申告が必要かどうかは、各自の状況によって異なるため、国税庁・税務署で確認することが望まれます。

源泉徴収される税率は何パーセントですか

国税庁の説明では、源泉徴収ありの特定口座で源泉徴収される所得税および復興特別所得税の税率は15.315パーセントで、これとは別に住民税5パーセントがかかるとされています。合わせると合計20.315パーセントです。なお、復興特別所得税は令和19年(2037年)までの時限的な措置とされており、税率や制度は法改正により変わることがあります。

住民税の手続きは別に必要ですか

確定申告を行う場合の所得税・住民税の取扱いや、住民税について別途申告が必要となる場合があるかどうかは、各自の状況や制度の改正状況によって異なります。住民税の手続きを含め、最新の様式・要件は国税庁・税務署やお住まいの市区町村で確認することが基本となります。

証券会社はどう選べばよいですか

口座種別は税務手続きの区分であり、どの証券会社で口座を開くかという選び方とは観点が異なります。証券会社を選ぶ際に確認したい取扱商品・口座種別・コスト・資産保護の仕組みなどについては、証券会社を選ぶ前に確認したい基本項目で整理しています。

使い方と免責

この記事は、特定口座(源泉徴収あり/なし)と一般口座の違い、確定申告の要否(原則と例外)、年間取引報告書やNISA口座との関係を、国税庁の公式情報をもとに整理したものです。記載内容は、作成・確認した時点の公式情報にもとづいています。

本記事は、一般的な制度の説明であって、税務相談でも投資助言でもありません。どの口座が一律に有利・お得であることを示すものでも、特定の口座種別や証券会社を推奨するものでもありません。税率・控除の要件・申告の要否などの制度は、法改正により変わることがあります。確定申告の要否や具体的な手続き、税額の計算は、各自の状況によって異なります。最終的な判断は、国税庁・税務署や税理士などの最新情報をご自身で確認したうえで行ってください。

参照した公式情報

本記事は2026年6月13日時点で確認した公式情報をもとに作成しています。税率・制度は法改正により変わることがあるため、最新の情報は国税庁・税務署の公式情報でご確認ください。

最新の取引条件・手数料・キャンペーン等は、必ず各社公式サイトでご確認ください。本ページの情報は作成時点のものです。